【栄光の悪魔貴族達】第1章エピローグ 星辰天軍、そして…
サタンは体の節々が痛むのを感じた。
もうだめだ…精一杯戦ったが、到底勝てなかった。自慢の槍は折れ、羽はもぎ取られ、体中から血に似た体液が噴出している。今や体は何百本もの触手で押さえつけられている。抵抗は不可能だ。
他の悪魔達も同じだった。ルシファーは半分気を失いながらアザトースに取り込まれかけていた。全員まとめて例外なく捕まり、死刑執行の時間は近い。
触手の巻きつく力が強くなる。
「一思いに殺せ!!」サタンが叫んだときだった。
不意に太陽のような強烈な光が差し込んだかと思うと、触手の力が弱まった。
「……!?」全員が驚いて光が当たる南のほうをゆっくりと振る向いた。
そしてそこに見たものを彼らは永遠に忘れないだろう。
天空高く輝く一筋の光がアザトースの腹を打ち抜いており、その光は光輝く遥か大空の彼方の騎士達の円錐形状の物体から発射されたものだった。騎士達は無数いて、炎の如く輝き、竜の様な生物に乗っていた。騎士達はまるで人間のようだった。
そして騎士達の間から紫と白の光を放つ巨人が現れた。それはなにやら武具のようなもので武装しているらしく奇妙な形の巨人だったが威厳を持っていた。
「星辰天軍(スター・ウォーリアーズ)!…それに【旧神】も…だと…?」
それがアザトースの最後の言葉となった。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
【旧神】と呼ばれた大男はそのまま我々人智の及ばぬ巨大な光の槍でアザトースを突き刺した。
そして彼らはすぐさま光の手で悪魔達を助け、優しく包みこんだ。
次の瞬間大爆発が起きて混沌の王は地上から永遠に消え去った。
悪魔達は今でも【旧神】の手の感触を忘れることはできない。【旧神】たちはその慈悲深い心で地球の戦士達を巻き添えから救ったのだ。
やがて悪魔達はエデンの園に舞い戻っていた。彼らは光の巨人と軍団が天高く、遠いオリオン座へ帰っていく姿を見て無言のうちに敬礼をした。これが彼らにできる、唯一のお礼だった。
「彼らは」地獄の道化師は言った。「ミカエルとガブリエルが呼んでくれたんですよ。地球に危機が迫っているのを最初に私に伝えて、この大計画を考えたのも彼らです。アザトースに一芝居うつのは大変でしたが、彼ら立案のこの計画は大成功でしょう」
「そうなのか!?」サタンは驚いた。「あいつら全部わかっていたのか!?」
宙を何かが横切る音がした。見るとそれは他ならぬ2人組みだった。
「全能の神に不可能はないのだよ。ただ、連中のやってくるのがわかったのは戦争の随分後なんだがな…でわかった後、偶然であったそちらの道化師さんに全部話して連中が来るであろうエデンの園にあんた達を送り込ませたんだ」
ミカエルは笑って言った。
「感謝してちょうだいね。貴方方を追っかけたのは前半は偵察、後半はこのことを伝えたかったからよ。といっても、わかったのは貴方方がブロッケン山にいた時なんだけど」
ガブリエルはすまして言うと「リリスによろしくね。今度あったら殺すって言っといて」と言い、ミカエルの手を握って2人とも大空へ消えてしまった。
「やれやれ、後でたっぷりお礼をさせていただかなくてはね…」ルシファーが苦笑しながらつぶやいた。
「もっと早く教えてくれればいいのに…まぁ調査にも時間がかかったんだろうが」マモンがため息をついて言った。
「しかし、我々までもだますとは…おまけにここに送り込んだのも作戦の一つだと、メフィスト?」ルシファーが少し腹を立てた。
「敵をだますならまず味方からと言うではありませんか」地獄の道化師はすまして言うと、賢者の石で作った薬を残してさっさと消えてしまった。
「ああ、あいつ薬だけ置いて逃げたな!」レヴィアタンが嫉妬で顔を黄色くしながら怒った。
「最終的に私達は天使達の手の内で踊らされたのだなぁ…」アスモデウスが官能小説を読みふけりながら悔しそうに言った。
一同は苦笑いした。なんだか変な気分だった。
空は青く晴れ渡り、風は心地いい。エデンの園に活気が少し戻ったような気がした。
「おおい、皆様!!」不意に蛇になったりリスが戻ってきた。
「おねえさまぁ!!ご無事でしたか!!」グレモリーはリリスを抱きしめて激しく愛撫した。
「くすぐったいわ。グレモリー…な…何なのみんな…その姿は、それにその傷は?」
リリスは愛撫を受けながらも悪魔達がそれぞれ汗と汚れと傷まみれだと言うことに気がついたのだ。
「話せば」サタンが薬を飲ませながら言った。「大変長くなる」
「私の店でゆっくり話しましょうよ」ベルゼバブはハエを追っ払いながら全員に自分が経営する高級レストランの無料チケットを渡した。
「大魔王様は報告を聞いてなんて言うかな…」ルシファーはつぶやいた。
「信じないのがおちだろう」リリス以外の皆が声をそろえて言った。
「ねぇ!?本当に何があったの!?ねぇってばぁ…!!」リリスが子供みたいにサタンにことのいきさつを話すよう求めた。
一同はそれぞれ元気を取り戻し再び自らの世界へ帰ることにした。悪魔の青春行進曲がさわやかに流れ、動物達の伴奏がそれを活気付けた。サタンの全てを語る声とリリスの驚嘆の声も入り混じり、まるで遠足の様だった。
そして眼下のエデンの園では、呪いを受けたアダムとイヴが厳かに血の涙を流して悲しんでいるのであった。
(第1章終了)
あとがき
疲れました。塾の合宿や学校のテストが重なり、当初はこのまま打ち切ってしまおうかとまで思いましたが何とか完成できました。
えと、もともとはこれは純愛バトルファンタジー(シャナみたいなの)でいこうと考えてました。でも、南米文学の「7悪魔の旅」を呼んでからもっと人間味のある物語を作ろうと決め、当初は戦争オンリーだったはずが後半になると雰囲気がガラッと変わったりして我ながら読み返して唖然としました。
あと、これは戦争のシーンとかは『失楽園』を参考にし、また作者自身も渋い性格なため古文体を多用して読みにくかったかもしれませぬ。反省してます。
さて、次回作は全て決まっています。今度の主人公はマモンです。そして舞台は1929年のアメリカ。
もうこれで、何をテーマにするかわかった方もいるかもしれません。次回作はより面白くする様努力します。
最後に、最後の最後までお付き合いくださった読者の皆様(特に多くのコメントを残してくださった銀蛇様)まことにありがとうございました。どうかまだまだ未熟な奴ですが、よろしくお願いいたします。
それでは、第2章で会いましょう。さよなら

1月1回頼みます
こちらもお願いします
もうだめだ…精一杯戦ったが、到底勝てなかった。自慢の槍は折れ、羽はもぎ取られ、体中から血に似た体液が噴出している。今や体は何百本もの触手で押さえつけられている。抵抗は不可能だ。
他の悪魔達も同じだった。ルシファーは半分気を失いながらアザトースに取り込まれかけていた。全員まとめて例外なく捕まり、死刑執行の時間は近い。
触手の巻きつく力が強くなる。
「一思いに殺せ!!」サタンが叫んだときだった。
不意に太陽のような強烈な光が差し込んだかと思うと、触手の力が弱まった。
「……!?」全員が驚いて光が当たる南のほうをゆっくりと振る向いた。
そしてそこに見たものを彼らは永遠に忘れないだろう。
天空高く輝く一筋の光がアザトースの腹を打ち抜いており、その光は光輝く遥か大空の彼方の騎士達の円錐形状の物体から発射されたものだった。騎士達は無数いて、炎の如く輝き、竜の様な生物に乗っていた。騎士達はまるで人間のようだった。
そして騎士達の間から紫と白の光を放つ巨人が現れた。それはなにやら武具のようなもので武装しているらしく奇妙な形の巨人だったが威厳を持っていた。
「星辰天軍(スター・ウォーリアーズ)!…それに【旧神】も…だと…?」
それがアザトースの最後の言葉となった。
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【旧神】と呼ばれた大男はそのまま我々人智の及ばぬ巨大な光の槍でアザトースを突き刺した。
そして彼らはすぐさま光の手で悪魔達を助け、優しく包みこんだ。
次の瞬間大爆発が起きて混沌の王は地上から永遠に消え去った。
悪魔達は今でも【旧神】の手の感触を忘れることはできない。【旧神】たちはその慈悲深い心で地球の戦士達を巻き添えから救ったのだ。
やがて悪魔達はエデンの園に舞い戻っていた。彼らは光の巨人と軍団が天高く、遠いオリオン座へ帰っていく姿を見て無言のうちに敬礼をした。これが彼らにできる、唯一のお礼だった。
「彼らは」地獄の道化師は言った。「ミカエルとガブリエルが呼んでくれたんですよ。地球に危機が迫っているのを最初に私に伝えて、この大計画を考えたのも彼らです。アザトースに一芝居うつのは大変でしたが、彼ら立案のこの計画は大成功でしょう」
「そうなのか!?」サタンは驚いた。「あいつら全部わかっていたのか!?」
宙を何かが横切る音がした。見るとそれは他ならぬ2人組みだった。
「全能の神に不可能はないのだよ。ただ、連中のやってくるのがわかったのは戦争の随分後なんだがな…でわかった後、偶然であったそちらの道化師さんに全部話して連中が来るであろうエデンの園にあんた達を送り込ませたんだ」
ミカエルは笑って言った。
「感謝してちょうだいね。貴方方を追っかけたのは前半は偵察、後半はこのことを伝えたかったからよ。といっても、わかったのは貴方方がブロッケン山にいた時なんだけど」
ガブリエルはすまして言うと「リリスによろしくね。今度あったら殺すって言っといて」と言い、ミカエルの手を握って2人とも大空へ消えてしまった。
「やれやれ、後でたっぷりお礼をさせていただかなくてはね…」ルシファーが苦笑しながらつぶやいた。
「もっと早く教えてくれればいいのに…まぁ調査にも時間がかかったんだろうが」マモンがため息をついて言った。
「しかし、我々までもだますとは…おまけにここに送り込んだのも作戦の一つだと、メフィスト?」ルシファーが少し腹を立てた。
「敵をだますならまず味方からと言うではありませんか」地獄の道化師はすまして言うと、賢者の石で作った薬を残してさっさと消えてしまった。
「ああ、あいつ薬だけ置いて逃げたな!」レヴィアタンが嫉妬で顔を黄色くしながら怒った。
「最終的に私達は天使達の手の内で踊らされたのだなぁ…」アスモデウスが官能小説を読みふけりながら悔しそうに言った。
一同は苦笑いした。なんだか変な気分だった。
空は青く晴れ渡り、風は心地いい。エデンの園に活気が少し戻ったような気がした。
「おおい、皆様!!」不意に蛇になったりリスが戻ってきた。
「おねえさまぁ!!ご無事でしたか!!」グレモリーはリリスを抱きしめて激しく愛撫した。
「くすぐったいわ。グレモリー…な…何なのみんな…その姿は、それにその傷は?」
リリスは愛撫を受けながらも悪魔達がそれぞれ汗と汚れと傷まみれだと言うことに気がついたのだ。
「話せば」サタンが薬を飲ませながら言った。「大変長くなる」
「私の店でゆっくり話しましょうよ」ベルゼバブはハエを追っ払いながら全員に自分が経営する高級レストランの無料チケットを渡した。
「大魔王様は報告を聞いてなんて言うかな…」ルシファーはつぶやいた。
「信じないのがおちだろう」リリス以外の皆が声をそろえて言った。
「ねぇ!?本当に何があったの!?ねぇってばぁ…!!」リリスが子供みたいにサタンにことのいきさつを話すよう求めた。
一同はそれぞれ元気を取り戻し再び自らの世界へ帰ることにした。悪魔の青春行進曲がさわやかに流れ、動物達の伴奏がそれを活気付けた。サタンの全てを語る声とリリスの驚嘆の声も入り混じり、まるで遠足の様だった。
そして眼下のエデンの園では、呪いを受けたアダムとイヴが厳かに血の涙を流して悲しんでいるのであった。
(第1章終了)
あとがき
疲れました。塾の合宿や学校のテストが重なり、当初はこのまま打ち切ってしまおうかとまで思いましたが何とか完成できました。
えと、もともとはこれは純愛バトルファンタジー(シャナみたいなの)でいこうと考えてました。でも、南米文学の「7悪魔の旅」を呼んでからもっと人間味のある物語を作ろうと決め、当初は戦争オンリーだったはずが後半になると雰囲気がガラッと変わったりして我ながら読み返して唖然としました。
あと、これは戦争のシーンとかは『失楽園』を参考にし、また作者自身も渋い性格なため古文体を多用して読みにくかったかもしれませぬ。反省してます。
さて、次回作は全て決まっています。今度の主人公はマモンです。そして舞台は1929年のアメリカ。
もうこれで、何をテーマにするかわかった方もいるかもしれません。次回作はより面白くする様努力します。
最後に、最後の最後までお付き合いくださった読者の皆様(特に多くのコメントを残してくださった銀蛇様)まことにありがとうございました。どうかまだまだ未熟な奴ですが、よろしくお願いいたします。
それでは、第2章で会いましょう。さよなら

1月1回頼みます
テーマ : 自作小説(ファンタジー) - ジャンル : 小説・文学
コメント
No title
まずは第一章終了おめでとうございます。
壮絶な戦いでしたね。
地獄の道化師は最後まで食えない奴でした。
最後は勝利……という形になるのでしょうが、悪魔たちとすれば複雑?
リリスお姉様が最後はなんかかわいかったですww
壮絶な戦いでしたね。
地獄の道化師は最後まで食えない奴でした。
最後は勝利……という形になるのでしょうが、悪魔たちとすれば複雑?
リリスお姉様が最後はなんかかわいかったですww
No title
ありがとうございます。
地獄の道化師は書くのに苦労しました。どんな奴か決めるのに時間がかかってしまって。
最後は勝利…したらまずいですよね。でも敗北させてはなんだか気の毒な気もします。
かわいかったですか。それはちょっと予想外でしたw彼女は多くの仮面をかぶって生きてますからこれもその仮面のひとつなのかもしれませぬ。
地獄の道化師は書くのに苦労しました。どんな奴か決めるのに時間がかかってしまって。
最後は勝利…したらまずいですよね。でも敗北させてはなんだか気の毒な気もします。
かわいかったですか。それはちょっと予想外でしたw彼女は多くの仮面をかぶって生きてますからこれもその仮面のひとつなのかもしれませぬ。
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良い結果が出ますように奄環和弘(M∀ZU)申し訳ありませんがNo titleがんばってくださいね。さなえ申し訳ありませんがNo titleがんばってください。
私もいつまでブログを続けられるかわかりませんが
帰還をお待ちしてます。銀蛇申し訳ありませんがNo title間に合ってるかどうか解らんけども・・・
「行ってらっしゃい」テスラ【栄光の悪魔貴族達】第1章エピローグ 星辰天軍、そして…No titleありがとうございます。
地獄の道化師は書くのに苦労しました。どんな奴か決めるのに時間がかかってしまって。
最後は勝利…したらまずいですよね。でも敗北させては黒き鉄塔【栄光の悪魔貴族達】第1章エピローグ 星辰天軍、そして…No titleまずは第一章終了おめでとうございます。
壮絶な戦いでしたね。
地獄の道化師は最後まで食えない奴でした。
最後は勝利……という形になるのでしょうが、悪魔たちとすれ銀蛇